ソフトウェアエンジニアリングの動向:2022年の予測

技術革新は、ヘルスケア、金融、銀行、サプライチェーンなどさまざまな業界のビジネスを変化させ破壊しています。特に現在のパンデミックのような時期に、ソフトウェアエンジニアはこれらの業界を改革する上で、重要な役割を果たすことになるでしょう。しかし彼らは過去のエンジニアとは全く異なる存在にならなくてはなりません。

では、これからのソフトウェアエンジニアリングはどのようなものになり、今日と明日の社会の要求にどの様に応えていくのでしょうか?

新しい未来を創造するソフトウェア・エンジニアとは、これまで育成されてきたエンジニアとは異なる種類の技術者になることです。未来のソフトウェアエンジニアが問題解決者であることに変わりはないとはいえ、その役割で成功するためには、ソフトウェアエンジニアは効果的なコミュニケーション能力とチームワーク、グローバルな知識、持続可能性がイノベーションの影響に関する確かな理解、そしてより何より重要なことは、将来を見据えた製品とサービスを開発する技術的専門知識が必要とされる事です。

近年、熟練したソフトウェアエンジニアや開発者が不足しているため、企業はそのギャップを埋めるために、現在の労働者のスキルアップする準備をする必要があります。しかし多くのビジネスリーダーは、現在の従業員や新規参入者のスキルアップをどのように、どこから始めればいいのか疑問に思っていることでしょう?

今回は、将来のソフトウェア技術者がどのような姿であり、現在と明日の社会の要請にどのように応えていくのかを考えてみましょう。

デジタル時代のソフトウェアエンジニアリング

伝統的な意味でエンジニアリングというと、自動車産業や電子機器製造(テレビ、DVDプレーヤーなど)、通信などのキャリアを思い浮かべますが、エンジニアの範囲はこの数十年で大きく広がりました。現在ではソフトウェアやIT産業、ヘルスケア、あるいは食品・飲料の分野で働くエンジニアを見かけることができます。

最近、一部のエンジニアリング関連産業が徐々に衰退し、技術や機械の自動化に取って代わられつつあることが判明し、スキルを持ったソフトウェア技術者の不足が部門全体に拡大しており、それを補う必要があります。

ソフトウェアエンジニアリングは、今日の労働力において最も需要の高い職業のひとつです。Software.orgの新しいレポートによると、ソフトウェア産業は米国だけでも1580万人の雇用を生み出し、GDP全体よりも速いペースで成長しています。さらに、ソフトウェア産業は2020年に米国の付加価値GDPの合計で1.9兆ドルに貢献し、これは2年間で17.1%増加した事になります。

新興技術によるデジタルトランスフォーメーションの必要性、また技術革新の必要性から、ソフトウェアエンジニアリングのキャリアは実行可能でダイナミックなものであると言えます。ソフトウェアエンジニアや開発者は、今後さらに多くのことを求められるようになり、さまざまな種類のソフトウェア開発者やエンジニアに対するニーズがさらに高まることになります。

現在のスキルセットを維持する

今日のデジタル経済のニーズに対応するため、現在および将来のエンジニアのトレーニングや再トレーニング、アップスキル、クロススキルが必要とされる要因は数多くあります。さらに社会・人口増加、都市化、消費者など他の側面も、社会全体の需要に影響を及ぼします。

ソフトウェアエンジニアは常に変化する需要に対応する一方で、労働安全衛生や規制要件を優先し、開発プロジェクトの持続可能性を考慮する必要があります。

2022年の技術スキルの上位にクラウドコンピューティングがランクイン

また、さまざまな分野で新しい技術の受け入れが進んでいる事は、ソフトウェアエンジニアにはそれらの新しい技術を扱えるよう訓練する必要があることを意味しています。パンデミックのピーク時、コンピューティングソリューションは2020年の他のデジタルトランスフォーメーション構想の中で明らかに勝者となりました。ガートナー社の予測によると、クラウドサービスに対する世界の支出は、2020年の3130億ドルから増加し、2022年には4820億ドルになると予想されています。さらにこの傾向は今後も続くと予想されています。クラウドへの支出は年間を通じて19%増加すると見込まれています。

その結果、クラウドコンピューティングは今や2022年の最も需要の高い技術スキルの1つとなっており、2000年代から目撃してきたように、この技術はソフトウェアの仕組み、つまり製品の設計や開発の方法をも変革させています。

いくつかの顕著な例として、SaaS製品や、Alexa(by Amazon)やGoogle Home、スマートカーなどのスマート製品が挙げられます。これらの製品は、製品のライフサイクルを通じて、新しいイノベーションを伴う一貫したアップデートが必要です。

しかし、そのためにはイノベーション、製品設計、ソフトウェア開発において、それぞれ異なる手法が必要になります。デジタルツインのような技術概念は、このようなイノベーションのシミュレーションに活用することができます。つまりエンジニアは常に新製品の開発に取り組むために必要なスキルを身につける必要があるのです。

サステナブルエンジニアリング

ソフトウェアエンジニアは、さまざまな業界の製品やプロジェクトの開発に携わる中で、その仕事は物理的な世界と結びつき、地球に影響を与えるようになりました。持続可能性と環境保護の必要性から、ソフトウェアエンジニアリングを含む工学のほぼすべての分野で、排出量を削減し、持続可能な材料を提供するグリーンテクノロジーとソリューションの使用が増加すると思われます。

まとめ

技術革新は、ソフトウェアエンジニアリングの将来の強い可能性を明確に示しています。ポスト・パンデミックな世界は瀬戸際にあり、新たな技術革新とともに - 企業や教育機関は、現在そして未来の技術者が選んだ分野で成功するための正しいスキルを身につける大きなチャンスに恵まれています。ソフトウェアエンジニアは、私たちの生活の様々な場面で重要な役割を担っているだけでなく、これらの分野における持続可能な計画をサポートする重要な役割を担っています。

クラウドコンピューティング、ビッグデータ、分析、モバイルソリューションに対する企業ニーズの高まりが、ソフトウェア開発者とソフトウェアエンジニアの需要を高めているのです。最終的には、各個人が何に情熱を注ぐかによって決まります。